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ファンタジー?

2010年04月21日 11:34

「パッセンジャーズ」という映画を観ました。2008年の映画ですから、今頃、ですね。
悪い映画ではないのですがオチに賛否が分かれるタイプです。
この映画に関して特に語る気はないのですが未見の方で観る気がある方は読まないようにしてください。


ファンタジーというカテゴリーがあります。
当然僕などは両足をそこに突っ込んで蓋を閉めたらそのまま埋葬できるような作家ですが、本当はそうは思っていません。
僕にとってファンタジーとは特定の作品のみを指します。

安房直子著「白いおうむの森」

と言う童話です。児童文学とでも言うのでしょうか。
これに出会ったのは随分前、小学一年生の時です。
当時読書に目覚め動物ものが好きだった糞ガキはタイトルに「おうむ」とあったのでこれを図書館から借りました。
でも全然動物ものじゃありませんでした。内容はこんな感じ

とある宝石店の秘密の階段を下るとそこには白いおうむのたくさんいる森があり木の下には一人ずつ誰かがいる。
その中に主人公である少女みずえの、生まれる前に死んでしまったお姉さんがいた。

乱暴な要約ですいません。
この作品は短編でこの本は表題作とそれ以外のものを納めた短編集なのです。
そしてそれらは例外なく「死」をモチーフにしている。
子供向けの作品であるにもかかわらず「死」が常にそこにある。

初めてこれを読んだ時の衝撃はいまだに忘れません。
胸の中に、喉より下、横隔膜より上、の辺りにズ~ンと広がる何とも言えない感じ。
泣けるわけではないが切なくて、叫びたいような気にもなるがパワフルでもなくて、もどかしいけど手放してはいけない何か。
その時僕が思ったのは「ああ、これがファンタジーって言う奴なのか」です。
それ以来僕にとってのファンタジーはそれ以外にありません。

中学、高校とかに行って実は世間には「魔法」「剣士」「お姫様」「ドラゴン」などが出てくるファンタジーというカテゴリーがあると知ります。
全然納得はいかないけれど便宜上そういう風に言わなくてはならないので我慢。
僕にとってはそういうのも宇宙船やらタイムトラベルしたりするのもまとめて「SF」にしています。
この略は何だって良いです。サイエンス、スーパー、ファンタジーだろうがフィクションだろうが。
あの胸に突き刺さるような感覚をもたらさない限り純粋なファンタジーとは絶対に認めん!!うが~!!

これを「パッセンジャーズ」を見た後に思い出したのです。

その後アホみたいに本を読みまくったけれど、これほど衝撃を僕にもたらした作品とは出会っていない。
凄く面白いとか、ためになる、とかはありますが、言葉で表すことの出来ない何かをもたらした作品はありません。
それから二十年くらい経って僕は普通免許を取りに山形は新庄市へ行きました。
いわゆる合宿免許と言う奴で短期間で教習を受けるものです。
と言っても一日みっちり車の勉強をするわけではなく日の大半は暇だと聞いていました。
なので荷物に読んでいない小説を二十冊ほど持って行ったのですがそんな物一週間ほどで読み尽くします。
新庄市は駅前に立派な商店街があったのでそこの本屋を物色、するとそこにあったのです、文庫版が。

即購入、即読む。

しかし、あの時感じた切ない感じという奴が胸に広がりません。
これが大人になるって事か?汚れてしまうって事か?死んだのか?
後僕に出来ることはこれを理詰めで解釈することだけ。

人は無い物ねだりをする動物だ。そのうちの一つに後悔をどうにかしたい、という衝動があります。
過去の清算とか失敗をやり直したいとか。
そのうちの一つに「もう戻らない人とのやり直し」がある。死んでしまった人との、ね。
それを実現させられるのはフィクションの中だけです。変な言い方だな。まあいいか。
「死者との対話」
これは今考えると大変ポピュラーで普遍的なテーマなんだよな~。

「フィールド・オブ・ドリームス」「鉄道員」「シックスセンス」「ゴースト」等々。
ほじくればいくらでも出て来ます。

そんなテーマで僕はデビュー作「私立探偵レイモンド」を描いたわけだ。
かなり意図的にそのテーマを入れました。今考えるとなんてあざといのだろう。恥を知れ。すいません。
勿論その時も頭の中に「白いおうむの森」があったのは言うまでもありません。

しかも

羽衣の中でもそれをやろうとしてるし。性懲りもなく。

勘弁してやって下さいね。
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