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「魔女っこ姉妹ヨヨとネネ」は大傑作である

2018年03月04日 00:03

往々にして映画というものには暗号(コード)が隠されているものである。
こないだの「最後のジェダイ」なんかもそれで、半可通のファンにそれが分からなかったもんだから評価が真っ二つに分かれた。
人気ラッパーですら読めなかったのだから仕方ないのかもしれんが。
この「魔女っこ姉妹ヨヨとネネ」もまたそういったコードが隠されている。
正直それが分からなければこの作品の感動はそれほどでもないかもしれない。
僕自身「たかが日本のアニメじゃ~ん。気楽に見るべえ、げへげへげへ」と鼻をほじりながら横になって見ていた。
ケーブルテレビでやってたのを録画し、それををげへげへ見てたのである。その時点では「まあ普通に面白いでヤンス~、げへげへげへ」って感じだった。
それが中盤から終盤にかけて「な…なんだこれはッ!?」と困惑し、クライマックスでようやくコードを解くにあたり涙なしには見れなくなるという始末。
凄いッ!日本のアニメでもこんな芸当の出来る脚本があるのか!!
感動すること間違いなしである。

ただし日本人に限る。

それもあのとき日本にいた奴に限る。

自慢じゃないが僕には愛国心なんてご大層なものはない、が、この作品を見てしまったら日本人であることを強烈に意識せざるを得ない。
このコードは隠されてなどいない。ただ台詞では語られないだけで見れば分かる。
逆に見て分からない奴はかなり、まずいぞ。いろんな意味で、ヤヴァいぞ。

こんな作品が、2013年に公開されていたなんていろんな意味でどうかしてる。
マジでスゲー。
数年前に我が国にかけられた呪いをたかが一本のアニメで解くことは出来ないが、いまだに傷つき苦しんでいる人たちを少しは癒やせはしないか、そんな願いがコンセプトであることは明らかだ。

これに似たコンセプトの映画を一つ。
「イントゥ ザ ウッズ(into the woods)」ディズニーがディズニーの、あのディズニーが、マジであのディズニーが、作った2014公開のミュージカルだ。これもアメリカの抱えるトラウマがコードになっていて、それに気づかなければ「なんのこっちゃ?」という感想しか出てこない奇妙な映画だ。ただしこっちはダウナーな気分で終わるけどね。

閑話休題。
結局新品のブルーレイをポチったよ。中古じゃないよ、クソ高いアニメの円盤だよ。
作品に敬意を表すにはゼニを払うことだよ。漫画もタダで読むんじゃねえ。
今3度目の視聴が終わったところなんだよ!

さて、以下はネタバレだ。


















2013年という数字自体にさして意味は無い。
あるのは3.11のわずか2年後であると言うことだ。
この作品の企画段階はおそらくまだ11年だったろう。
16年の「シンゴジラ」ですらカタストロフに傷つく人たちの描写がの無かったのに、この作品では容赦が無い。
見終わってから気付くが冒頭のシークエンスでもうそのヒントは提示されている。
「水のモンスターが襲ってくる」。

さらに魔法の暴走で被害に遭った街の俯瞰はどう見ても家を土台から根こそぎ持って行かれた津波の跡である。

小学校ではまさに「地震」の描写があり、ヨヨが守った病院なんかは余震に怯える描写そのものだ。

だが勘違いしてはいけない。東日本大震災をテーマにしているから凄いのではない。
その時の経験が物語のドラマ部分に直結していることが凄いのだ。

そもそも僕は魔法と言うジャンルがあまり好きじゃない。
論理性に欠けるからで、エネルギー保存の法則はどこに行ったんじゃあ?といつも突っ込みたくなる。
ハリポタが好きなのは作品の本質がファンタジーと言うよりはミステリーだからだ。
「魔女っこ姉妹ヨヨとネネ」でもその突っ込みをしたくなるが、見事に躱される。
魔法では何でも出来るので、主人公のヨヨには「死別」という概念がない。
だから現地横浜の人たちと恐怖という感情を共有できないでいる。
ビハクという飼い猫(ペット?猫?)の死に直面して初めてその気持ちを共有させるくだりは涙なしには見れぬよ。
3回見て3回泣いたよ。見るたびに涙の量が増えてくよ。動物を死なすのはずるいよ。死ななかったケド。

これで主人公への感情移入と危機感の共有が出来、さらに飛び出すクライマックスでの金言!
「どんな魔法もわがままばかりでは呪いになる」
相田みつをのカレンダーにそんなの書いてなかったか?
こんな金言が事件の謎を解く鍵になっているのだからもう降参するしかないのであります。
その直後に他人の安否を気遣う人々の思いが呪いを解いてしまうところも涙なしには見れぬよ。3回見て3回泣(以下略)

このカタストロフに遭った人たちを救うドラマの裏側にあの震災の記憶があるのだ。
単なるメタファーではない。
明らかに制作者は「救いたい」と思っている。それを読み解くコードはいくらでも見つけられる。

その一番でかいのがヨヨが行った最後の魔法である。
魔法石が砕けた時点で戦いはもう終わらせても良かったのではないか?と構成上感じるのだが、決して蛇足ではない。
むしろこれが一番大事。
問題の惨事を引き起こしているアプリゲーム、これは何か!?何のメタファーか?
「原発」
それもかなり好意的に解釈している。「人の幸せのために作られたもの」と言う位置付けなのだからね。
現実にはかなり疑問だけれど。
それでヨヨは言うんだ「この世界を浄化します」と。
逆に言えば「魔法がなければ浄化できない」のだ。放射能って奴は。

でも作中こうも言っている。

「魔力が無ければ魔法が使えないと思ってる?」

公開から5年も経ってからこの傑作に出会うとは、俺もヤキが回ったぜ。
こんな描写がいっぱいあるから、地上波放映はやっぱ無理なのかなあ。
ヨヨとネネだのヨネさんだのネーミングの源流は(ヨミさんのルックスでなんとなく想像できるんだけれど)あのセクシーな黒髪の美しい眼鏡魔女だヨネ。

イヤ、もうホント、金を出して見る価値がありまっせ!


コメント

  1. 殷狼 | URL | -

    Re:「魔女っこ姉妹ヨヨとネネ」は大傑作である

    てっきり今話題のさよならの朝に約束の花をかざろうかと思いました。
    これは見た事ないですね~名前は聞いたことありましたが
    アニメ映画とかほとんど見ないので

    機会があればみてみようと思います
    東先生のオススメですので

  2. | URL | -

    Re:「魔女っこ姉妹ヨヨとネネ」は大傑作である

    その映画のタイトルは知っているけどやはり観に行かないんだよね。
    だから傑作の存在を後になって知る羽目になるのかな?

    楽しんでちょうだい。

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